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小冊子ことづて vol.06 陸前高田 : 出会った人たち

森前組有志会 佐藤徳政さん

「漠然と東京での生活や仕事にあこがれを抱いて暮らしてきたけど、何か物足りなかった。
本当にやりたいと思ったことは、震災後に故郷で見つけられた気がします。」
そう語るのは、五本松有志会で代表を務める佐藤さん。
震災前、5本の松があったその場所は、郷土の歴史を伝える場所として
地域住民の憩いの場所として愛された場所でした。
しかし、復興事業の一環で年内に埋め立てられる事が決定。
この愛すべき場所への感謝を込めて、佐藤さんら有志が集まり
人々の交流をはかる為の活動を行っています。

「ここでは、高校を卒業すると、ほとんどが地元から出て行きます。
私も東京でデザインの専門学校に通って、そのまま就職しました。
東京は人もモノも多くて楽しかった。特にイベントを企画して人と会うのが楽しくて
知り合いが増えたり、仲間で協力してイベントを動かしたりするのがおもしろくて。
それこそ寝る間を惜しんで、仕事はそこそこって感じでやってましたね。
今思い返してみると、とんでもない話だな。 笑。
でもそんなときに震災があって、母と妹と祖母を津波でながされたんですよね。」
ひとり生き残った父の為、佐藤さんは陸前高田に戻ることを決意します。
そして、復興支援事業の仕事に就いて、故郷で再スタートを切りました。
地域の人々を元気づけるための活動やイベントを手伝っていくうちに気づいたのは
イベントを仕切ってきた経験をいかして、陸前高田を元気にできるかもしれない…ということ。
「地元で活動していると、『○○くんも戻ってきているらしいよ』って話をよく耳にします。
それってすごくうれしいですよね。20・30代の私たち世代こそが頑張るべきなんです。
五本松が埋め立てられることが決まった時
「五本松に自分たちができるカタチで『ありがとう』を伝えたかった。
昔のようにたくさん人が集まって輪踊り(巨石を囲んで高田音頭にあわせて踊る)や
チャオチャオ(地域などのグループが思い思いの衣装で個性を競い、踊りながら町を練り歩く)
をして、少しでもまちを賑やかに、そして元気にしたかった。」
自分が楽しむためにやってきたことが、地元のみんなに喜んでもらえることに変わった瞬間でもありました。
佐藤さんは、現在、地元のお菓子メーカーに社員として就職し、奥さんと9か月の子供と陸前高田で暮らしています。「最近どう?って聞かれたら、充実してるよ、って答えられるように毎日頑張ってるんですよ。」と、ちょっと照れながら語る佐藤さん。

その笑顔は、故郷への誇りと充実感で満ちあふれていました。

<佐藤徳政さん>
五本松有志会代表

2015年6月23日