陸前高田商工会会長　伊東さんのお話

伊東文具店･社長の伊東孝さんは文具書籍店を営む傍ら、陸前高田商工会の会長として新しい市街地の再建プロジェクトの企画･運営を行っています。

現在は様々な業種の事業者を集め、｢復興ビジョン推進委員会｣として、今後新たに作られる市街地にどのように人を集めるかを模索している最中。
｢地元の方はもちろん、観光のお客様も来てくれる賑やかなまちにしたい」と伊東さんは話します。
構想中のまちには、大型商業施設や地元の商店街、憩いの広場など恒常的に人が集う空間をつくる予定で、現在は宿泊施設にも声をかけているそう。
とはいえ人材の流出や高齢化、まだ未完成である土地の問題など、課題は山積み。
そういった問題をひとつひとつ紐解き、解決策を企画メンバーで話し合い、検討しているそうです。

ただ、伊東さんは現在考えているまちも、構想通りにできあがることがゴールだとは思っていないらしく「まずは自分たちがベースを作り、人が集まることで5年後10年後に本当のまちになる。そしてそれを、次の世代につなげていく事が大切」と教えてくれました。
形が整ったそのあとは、人と人とのつながりを大切にできるような、そして従来の陸前高田の風習や文化を残したまちに創りあげていきたいと考えられています。
次世代にも｢ここが生まれ育ったふるさとだ」と思ってもらえる心のよりどころ、いつでも帰ってこられる居場所。
それが伊東さんの思い描く、陸前高田の未来図。

ご自身の文具店も、もとは駅前の商店街にあったところを津波で失われました。
それでも、｢待っている人たちがいる｣と、震災の1か月後には教科書など必要な物品を揃えて子どもたちに届けたそう。
仮設店舗で再開したときも、｢待ってたよ｣｢再開してくれてありがとう｣と多くの声が集まり、必要とされる喜びと責任感を再認識し、かつての形とは違えど、伊東文具店は今日も地域に貢献を続けています。
そういった経歴をもつ伊東さんだからこそ、陸前高田はもとどおり震災前の姿になるのではなく、新たなスタートに立っているのだといいます。
末永く愛されるまちの基盤をつくるために再建プロジェクトは力を合わせ、常に前を向いて活動されています。
｢生まれ変わっても、高田は高田だから｣
静かながらも力のこもった声で、伊東さんはそう繰り返されました。

2015年6月22日

株式会社山十　伊東文具店
岩手県陸前高田市竹駒町字相川1-1
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