出会い
2018 年 11 月 08 日
石狩思いやりの心届け隊のお話
このたびの北海道胆振東部地震や台風21号により被災された皆さまに、
謹んでお見舞い申し上げます。
しばらく更新ができていませんでしたが、
北海道胆振東部地震の後、すぐに現地に駆けつけ継続して支援活動を行っている
「石狩思いやりの心届け隊」のみなさんの活動に、今回同行させていただきましたので、
現地の状況についてのレポートと共に活動のご紹介をさせていただきます。
石狩思いやりの心届け隊は北海道石狩市の有志で、被災地支援を目的に発足した団体です。
「石狩出身じゃなくてもいいですか?という問合せもあるけど、思いが一緒なら関係ないない。東京から駆けつけてくれる仲間もいるし。」と、隊長の熊谷さん。
2018年10月、今メンバーは総勢90名ほどに膨れあがっているそう。
最初の活動は2011年3月11日の東日本大震災後。
石狩商工会議所青年部メンバーで緊急物資送付、募金活動、支援物資集めなどをしていくうちに、それらを行政を通して送るだけでは支援が行き届かず、自らの手で直接被災地に届けるしかないと思ったそうです。
石狩の飲食店や企業、各団体から、多くの食材などが集まり、「石狩思いやりの心届け隊」として震災翌月の4月に宮城県石巻市雄勝町へ物資を持参し炊き出しも実施しました。
「道中では被災した方々にどんな声をかければいいんだろうってメンバーで悩みっぱなし。でも雄勝に入ると泰ちゃん(畑山泰賢さん)がニコニコしながら手を振って迎えてくれたんです。”ああ、笑っていいんだ”って」
その後も毎年のように東北へ足を運び現地の方たちとの交流を続けています。
地元の地域活性イベントやライジング サン ロックフェスティバルなど、数々のイベントに出店し東北や熊本など被災地の特産品を集めて物産展も開催。
「被災地の物を買っていただくことで、震災のことを思い出してもらえる。自分たちにも起こりえることだから、そうやって風化させないことも大切だと思っています。」
私たちことづてプロジェクトとの出会いもイベント会場でした。
東北の物産展として出店していた私たちに、俺たちと同じようなことをやっている団体がいるんだな。と感じた熊谷隊長が「この東北の商品はどうやって仕入れているんですか?」と声をかけてくれたのが繋がるきっかけになりました。
◆現地に行かないと本当の情報が伝わってこない
給水・排水設備工事などを生業にする隊長の熊谷さん。
建築・土木工事など幅広く手がける広報渉外室長の酒井さん。
他、様々な仕事や得意分野を持った隊員が集まっています。
2018年9月6日におきた胆振東部地震では、すぐに厚真入りし、直接副町長さんに何か足りない物やできることがないかを聞くことができたそうです。
事前情報では「水が足りない!」ということだったので、ペットボトルのお水をダンボール一杯に持参。
でも現地で本当に足りない物は水でも給排水に関する水が一番足りないと言うことが判明。
それは熊谷さんが最も得意とする専門分野!
「そっちの水か!って。現地に行かないと本当に必要な物が伝わらない。そして、いつまでに用意すればいいですか?って聞いたら『明日でもいいですよ』って言われて。数日後くらいにはと思ったけど、よっぽど切迫した状況なんだ。これは、すぐやるしかないと思ったんだよね。」
仲間に連絡して、ユニック車など特殊車両ほか6台、200V動力発電機、水9,000リットルを積んで、再び厚真町へ。断水地域の避難所の復旧活動をされたそう。
ライジングサンで使用した仮設シャワー室を運んで避難所に設置し、避難所生活を助けています。
◆今できることを、今できる人がやる。
「北海道は農業なしでは成り立たない。すごく重要な産業。そして厚真町は日本で一番新規就農のしやすい町なんですよ。たくさんの畑と農家さんがいる。だけど、今回の地震でせっかく実った作物が収穫できていない。農家のパートさんもみんな被災して避難所生活を送っている。人手が足りない。農業被害も甚大です。だったら俺たちでやろう。そう、思ったんです。」
収穫ボランティアを募り、石狩思いやりの心届け隊の隊員や北大農学部の学生さん他多数の人が参加し、数日にわたって馬鈴薯・メークインのいも掘り作業をおこない3件の農家さんの収穫を無事終わらせることができたそう。「今できることを、今できる人がやればいいんです。」そう、熊谷さんは笑います。
10月20日・21日の厚真町の炊き出しボランティアでは、2日間で22名が参加。
現地に着いて驚いたのが、本格的な厨房がセットされた大きなキッチンカー!
そのキッチンカーは、前週までボランティアできていた石巻の炊き出しチームが貸してくれた車で、その石巻のメンバーの中には雄勝の畑山泰賢さんもいたそう。
支援を通し何年も繋がって、今度は北海道への恩返しで再会するという素敵なお話をうかがうこともできました。
炊き出しは1日目昼160食。2日目昼160食。夜220食。
メニューは、さんまのつみれが入った女川汁や米麺入りのあづまジンギスカンetc…。
食材は東北支援で繋がった方々からの提供や地元の特産品がほとんど。
炊きたてのあたたかいご飯を食べて欲しいという思いから、大量のお米を何度も炊いて直前まで保温。
おかずも盛り沢山で、少しでも元気になってもらいたいという気持ちが伝わるメニューでした。
◆石狩思いやりの心届け隊にどうして人が集まるのか
作業の実行部隊の他にも後方部隊や必要な物資・支援金の提供などで様々な方が関わっています。無償の活動にどうして人が集まるのか。
本業は食品会社の営業という隊員のさいちゃんこと齋藤さんに石狩思いやり届け隊について聞きました。
「石狩のYOSAKOIチームに入っていたことが、熊谷さんたちとご縁ができたきっかけです。雄勝に行く時も声をかけてもらって毎回一緒に行かせてもらっているんです。石狩思いやりの心届け隊は気遣いと行動力があり、どんな時も笑顔で前向きです。特に主要メンバーの人たちが本当に尊敬できる人で一緒にいると元気になるし楽しい。そこに引きつけられてみんな集まってると思います。そしていろんな経験をさせてもらっています。」
一緒にいる時間がすごく嬉しいとキラキラの笑顔で語ってくれました。
ここでの活動に「強制」という言葉は一切ありません。
今できる人が、思い々の思いやりを持ってココに集まりたくって集まっています。
今後も今できることを探しなら活動を続けていくそう。
厚真での炊き出しの合間には、「被災地で買い物をして経済を回しましょう!」という隊長の言葉に、隊員たちはあづまジンギスカンや地元の名産豆腐を買っていました。
「できることって結構簡単なんですよ。笑。」
そうですね。と、つられて豆腐を大量買いしてしまいました。
※石狩思いやりの心届け隊の活動の様子はFaceBookからも伺えます